Art2006_11

img23ca9494wkg9gg.jpeg今日は大泣きした。とにかく大泣きした。こんな事が有るなんて・・・奇跡の日だった。

このところ、歌詞の書き直しで相当参っていた。この上なく参ってた。おまけに久々に大熱が出て、頭痛でおかしくなった。今日はバイトは7時からの出勤で、しかも忙しい。お昼を3時くらいに食べて、仕事をしてめまいでくらくら。あまりの頭痛に5時前に職場を出た。

歌詞歌詞歌詞・・・。吐きそうになりながらとにかく病院へ。まだ間に合うはず。その時、ふと考えた。こんな状況で注射しても自己治癒力を低下させるし、注射は高い。とにかく寝よう。

有楽町の駅に向かいつつ、また歌詞の事を考える。

そして、ある重大な事に気付いた。

今日から、ピポ子の尊敬する日野日出志先生の個展が開催されるのだ。しかも偶然にもこの職場の近所。そのギャラリーは、先週偶然買い物の途中で見つけた小さなギャラリーで更なる偶然の出来事だが、そこで日野先生の個展が行われると言う事を一昨日知ったのだ。

この時期に見たい絵が見れる。これは「見ろ」との啓示としか考えられない!!具合はかなり悪いが、今日が初日・・・いかなくちゃ!!

早速熱で口を腫らし、ノーメイクにストール姿で到着。お客はまだピポ子のみ・・・。

会場は、まさに「日野日出志」の世界だった。頭痛も忘れ、絵に見入る。なんという線、色、なんという臭いなんだ!!!

幼稚園の時に初めて見た時からずっと忘れられない。この人の絵にショックを受け、読みたいが怖くて 買って家に置けずこの人の漫画を立ち読みする為お稽古に通った日々・・・。

日野先生は、日本のホラー漫画の第一人者だ。その画風、世界観は恐ろしいほどにオリジナルである。この世に天才がいるなら、まさしく先生の事を指すに違いない。

もともと太い線と細い線の対比が美しかったが生の原稿を見て愕然とした。

どんな細かい部分もすごく丁寧に描き込まれている。色の風合いも抜群だ。赤、黒の2色で描かれた原稿はその2色で完結していた。他の色はいらないのだ。

カラーの扉絵も素晴らしい。グロテスクに歪み、うじ虫のわき出る体とその背景にあるもの。沼、ごみ捨て場、工場・・・ありとあらゆる昔の日本の「息吹き」を感じる背景。おとうさん、おかあさん、おねえちゃんとちゃぶ台を囲んだ頃の日本。その前で、人間の醜さ、性を表現する「異形」な者たち。

こんなに匂い立つ作品を見た事が無い。

吐き気を忘れ、目に焼き付けた。正直日野先生の作品はあまり読んだ事が無い。というか持っていない。ファンなのに???と思われるかもしれんが「買えない」といった方がいいかもしれない。作品自体入手しにくいのもあるが、幼稚園の頃のピポ子の感性では「怖いし、気持ち悪いからお部屋においときとくない」というのが先立って、買うのには勇気がいったのだ。

時を越え、何故だか分からないがこの2,3年日野先生の作品が見たくてたまらなくなった。それだけ印象が強烈だったに違いない。

ふとある原稿の前で足を止めた。漫画の生原稿だ。

タイトルは「赤い実」

びっくりして泣きそうになった。

来年私がリリースする予定の曲名は「赤い実」なのである。私はこの作品を今日初めて見たのだ。しかし、この曲が出来たのは数カ月前。

しかもそこに描かれている赤い実の絵は、私が自分の手帳に描いたものと同じであった。何だか複雑な気持ちで泣きたくなった。ただただ泣きたくなった。

おろおろして作品を見ていると、ギャラリーの中央で年配の男性が3人ワインを飲んでいた。陽気に楽しそうにイタリアの話をしている。きっと後援会の方なんだな・・・そんな方々を横目に、画集を買おうとギャラリーの女性に声を掛けた。

「あの・・・これサイン付き画集下さいピポ」

「有り難うございます。あ、折角先生がおいでですから名前を書いて頂いたら?」

・・・・はぁ?
・・・・・えっ!?
・・・・・・・えええええええええええええっ!?ナンですって!!!?????

振り返ると、ワイン会の方がこちらを向いて口ぐちに「ほらほら、サインして差し上げなよ!」「ほらほら!!」・・・とおっしゃった。

「ぎゃああああああああ!どうしよう!!ノーメークなのに!!!あわわわわわあああわわわわ!!」

ピポ子乱心!!!ギャラリーの方はピポ子の携帯で写真を撮って下さると言って下さった。

「せせせせせせせせせせせせせせんせい!!私ピポ子です!!!先生の作品で育ちました!!ブブブブブ・・・ブログを書いてるんですが写真を載せてもよろしいでしょうか!!!???」

「いいですよ!!どこでも使って下さいね」もはや白目どころでない。乱心なのだ。

先生の作品にどれだけ感銘を受けたか、色々言いたいのに言葉にならず。先生は強く握手をして下さり、しかも優しい。驚いた事にお年のはずだが、若々しい。しかも・・・すんごい美形だ!!!!!!

まじ凄い美形です!!!やばい!!多才な上に美形!!神様は卑怯だ!!


ぽーっとしていると、先生が他の2人を指さしておっしゃった。「こちらはねえ、漫画家のビック錠とお茶漬海苔」

・・・・・ええええええええええっ!!!まじっすかあああああ!!

諸先生がたの漫画は持ってます!!読んでます!!10代の時から・・・・

ピポ子成仏。

「じゃみんなで写真撮ろうよ!!」

そして、ピポ子は漫画界の大御所と並んで写真撮影。なんで、こんな日にノーメークなんだ!!!ノーメークを気にしていると、ビック錠先生が「大丈夫!!可愛いよ!!」「イタリアで写真撮ったみたいだね、あははははは!!」

・・・恥ずかしい・・・みんな優しい・・・。

ピポ子は何だか頭に血が上り「私、歌をうたってますピポ!!」とおかしな事を言い出してしまった。

「へえ・・・そうなんだ!!どんなの?」「ロック?ポップス?」「いつ出すの?」「まあ、ワインでも飲まない?」

ピポ子は頭痛とめまいと興奮で倒れそうになった。

ピポ子がお話している間、別の女性が写真をご依頼され邪魔しちゃいかんと退くと、先生はピポ子にワインを勧めて下さった。

あれ・・・・ピポ子だけ高待遇だあああ・・・悪いなあ・・・でも嬉しい!!!熱意って伝わるのね。でも化粧はしとくべきだった・・・ううううう。

お酒は飲める状態でなかったので先生方と握手をして、これからも応援してますとお辞儀。

「またどこかで会いましょう!」先生がそうおっしゃって下さったのでこうお答えした。

「必ずお会いします!!必ず!!」

本当なら先生方と飲んだくれて、お話でも出来るチャンスだったのだが頭痛の所為だけではない、今の私では先生方とお話出来る位置にいない・・・そう思い遠慮した。

あの原稿を拝見した時驚いたのはどんな細かいコマも全く手が抜かれてないという事だ。プロなら当たり前なのかもしれないが、どのコマひとつとってもそれだけで存在出来ている。

・・・今の自分はどうだ。歌詞を変える事、絵を描く事で手一杯。自分の世界を作る事にここまでエネルギーを出し尽くしているか!?

そう思ったらまだ同席出来ないと思った。

だから失礼する時に「必ず」と申し上げたのだ。これから絶対日野先生方と同席出来るくらい確固たる自分を追求し作り上げないと・・・!!!

それからお客様が増え、ピポ子はギャラリーを後にした。なんというすごいタイミングで入れたんだろう・・・ついているとしか言い様がない。

・・・まさに神様がピポ子をここまでお連れになったのだ。

神様・・・へこんですいません。

こんな時だからってわざわざ御膳立てして下さって本当に感謝です。奇跡はおきるのね。というか奇跡の団子3兄弟である。

日野先生は会場にいらっしゃるのは今日だけだったそうな。しかもピポ子の仕事がきょうこの時間に終わらなかったら先生方とお話は出来なかった。

偶然は必然。

気合い入れ直して、先生と対談出来るように頑張ります。・・・また泣けてきました。

imgc5d9c019wj5mwe.jpeg
日野日出志先生との2ショットを又載せてしまった・・・。

昨日からピポ子の頭の中は、日野先生三昧である。
昭和の香り・・・見せ物小屋・・・原っぱ・・・

そう言えば宇宙都会にずっといたピポ子は、そんなものに縁はなかった。見せ物小屋なんて見た事も無い。でも、我が表現集団「あまぞーら」ではイベント「闇市」を行う際必ず「見せ物小屋」の旗を立てるようにしている。ピポ子の中では何故かそんな昭和の暗さ、生々しさ等にひどく憧れが有るようだ。日野先生の作品に魅かれるのもそんな理由もあるかもしれない。

今日は歌詞を書く合間、懐かしいアニメのオープニングを見てみた。最近は便利ね・・・ネット上から色々見れるのね・・・。やはり昔のアニメソングはいいね!!

亜空大作戦スラングル
オーガス
モスピーダ
バイファム
エルガイム
スペースコブラ
マクロス
装甲騎兵ボトムズ・・・

色々見過ぎて目が・・・でもすごいのね、今見ても。あ、この人が作った作品なんだなんていう見方も出来て。この頃は幼少だったピポ子だけど、今はお知り合いの方がこの曲を作曲してたなんて・・・そう思うと不思議だし、嬉しかったりします。

バイファムなんてこの当時オープニングが英詩だからね。バイオリンソロが入るからね!!かっこいい!!!今見ても良い!!

ボトムズなんてオープニングの「TETSU」さんは織田哲郎さんだったらしい。しかも初期よ!これはある業界関係者に聞いて驚いた事のひとつだったりして・・・。

その当時オープニングを歌いたくても声が低くて歌い辛かったマクロス。今は楽々低音の魅力よ!!!このころから声が低くなりたくて頑張ったっけ・・・今はもう楽に低っ!

すいませんね。趣味が・・・趣味の世界・・・ああ・・・

とにかくねえ、昔のアニメはすごいよ。ある番組で吉本関係の芸人の方々が「ガンダム」について語ってらしたけどすごく熱くて良かった。そう言いたいのは分かるわ!!うん、うん、わかる、わかる。そうでうよね。思わずうなづいてしまいました。

この当時のアニメは、お話の内容が暗い!暗いの!ロボットうんぬんというのはあるけど、主人公は何かを背負って生きていたり、悩んだり、生と死の狭間で悩んだり決して強くない。コンプレックスさえ持っている。人間臭いんだわ・・・薄っぺらくないんです・・・・見ていて何だか切なささえ感じるの。とにかくぬかみそ臭くて良いです!!

すごいよね。こういう人間臭いアニメを作られてこられた方々は。日本のアニメは、技術的にも高い評価を受けているけど内容も素晴らしいから海外で高評価なんだろうね。

本当に日本の宝です。

実はピポ子、宇宙学生の頃同じクラスに(卒業式まで知らなかったんだけど)メカデザインとしても第一人者であられる大河原邦男氏の親戚の方がいらしたの。

彼女はそれを隠していたんだけど、ピポ子は何故か彼女が入学してきた時から「大河原さんってメカデザインの方知ってるピポか?あなたの名字と同じピポ」と知らずに彼女に話していたのよ。彼女はそう言われてずっとびくびくしていたんだろうなあ・・・。彼女はとても美人で優しい子だった。今でも顔を覚えてます。

卒業式の朝、彼女は何も言わずピポ子に直筆ガンダムの色紙をもらってきてくれた。

「えええええええ!やはりあなたの親戚は大河原邦男さんだったのおおおお!!」彼女は困ったような笑顔を見せて教室を出ていった。

卒業式の記憶は、この素晴らしい記憶しか残ってない・・・。

この当時から不思議な事が続くのだけど、興味が有る事に関わりが有る方と必ず出会うのね。

まるでご褒美のように、そんな事が良く起きます。

日野先生にお会い出来たのもそのひとつ。今度はどんな出会いが有るんだろう・・・楽しみね!!!

ビバ!ジャパニメーション!!

Art Review

2006 11
番外 / 日野日出志と出会う

Art Review TOP PAGE