Book2008_09

080926.jpg砂の惑星

読破への道

SFの古典的長編名作と称賛される「砂の惑星」。1984年にはデヴィッド・リンチによって映画化され、最近では米のTVシリーズとして「砂の惑星(砂丘の子供たち)」も映像化されているわ。その「砂丘の子供たち」三部作をDVDで見たのだけど・・・。

TVシリーズはメインキャストが今一つ(アリス・クガー他サブキャストの演技は素晴らしいのだ・・・)のため、物語の背景にある世界観を感じる事が出来ないまま消化不良で終わってしまったわ。
で、ふと原作を読みたくなってamazonで中古本を検索。そこで¥1と表示のあった中から、文書の丁寧なshopを選び購入したのよ。後日届いた包みを開封してビックリ・・・な、な、なんと初期の版で表紙と挿絵が石ノ森章太郎だったの!!特に挿絵のインパクトには驚きよ。

"サイボーグ009"を彷彿とさせる点描で描かれた挿絵はどれも懐かしさを抱かせるものばかり・・・。まさかこの作品で石ノ森ワールドを堪能出来るとは二度、いや三度おいしいとしか言いようが無いわ。このshopはこの本を¥1で提供して良かったのか!?・・・まあいい。

この「砂の惑星」はフランク・ハーバートにより1965~85年に全6部構成で出版されているの。終わりそうで終わらないこの物語は、彼の死後、子供のブライアン・ハーバートによって引き継がれて「デューンへの道」として今も描かれ続けているわ。ピポ子がヤングな頃に一度読み始めた事があったのだけど、表現の難しさとあまりにも先が長いので断念したの・・・。今度は全巻読破してやる!!・・・でも石ノ森バージョンがいいなあ・・・。

080816.jpgD.HIRO
「幻想遊園地」

ノスタルジック・ワールド

ピポ子は本屋さんが大好き!店内をうろうろして、色んなジャンルの本を見て回るのは本当に楽しいわ。
最近は時間が無くて探索する事は殆ど無くなったけど、この間お買い物の途中に面白い本を見つけたの。その名も「幻想遊園地」!!

D.HIROという写真家が、取り壊されて廃虚と化したテーマパークやレジャーランドを撮影した作品集で、ページをめくる度に何とも言えない切なさと郷愁の思いが一杯溢れ出てきたわ!

以前友人が文庫本タイプの『ザ・廃虚』という写真集を見せてくれたのだけど、心霊スポットの様に面白おかしく撮影されていたので心に響くものは何もなかったけど、今回の作品集はぐっとくるものがあったわよ。
日本全国に存在していた華やかなテーマパーク・・・お休みの日には家族連れや恋人達で溢れ、あちこちからアトラクションの音や楽しそうな子供たちの声が聞こえて来たんでしょうね。でも今では、アトラクションの外観を枯れた草が覆い尽くし、その間から垣間見える乗り物の赤や青の鮮やかな色彩が不思議な程アンバランスで悲しい。

かつてその勇姿を誇ったジェットコースターは"鉄の城"に成り果て、ただそこに存在しているだけ。子供たちを脅かした幽霊は腹部からモーターが飛び出し、蛍光塗料を塗られた生首達はこんなにもコミカルな表情だった事を知る・・・こうして人間によって生み出され命を吹き込まれたものが、人間達の勝手でまた物質に戻されていくなんてなんと傲慢で身勝手なのかしら。

未だ解体や清掃作業すら行なわれていないおとぎの国は、食い散らかした後のゴミ溜めのよう・・・。

私たちはおいしいものを食べようとあちこち食い尽くして回るうちに、後片づけや感謝をする事すら忘れてしまっているのかもしれないわ。その事に気付かなければ日本全体が廃虚と化していってしまうよ・・・写真家からそんな強いメッセージが伝わってきたの。帰りのバスの中、ふと小さい頃に行った"たまがわえん"を懐かしく思い出すピポ子でありました・・・。

Book Review

2008 8-9
砂の惑星 / シリーズ
D.HIRO / 幻想遊園地

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