Music2008_10

081025.jpgジェネシス

When In Rome 2007 (DVD)

最新のジェネシスDVD「When In Rome 2007」を見たわ。彼らのラストツアーでもある、最終地ローマで50万人も動員したライブ映像よ。

LEDを使った巨大セットに蛇のようなスクリーンやクレーンにライティングは見ごたえ充分なれど、3人のプレイは圧巻。"お客様を楽しませる為"に考え抜かれたショウは斬新であり、何処も見どころ満載であり、歴史に残る素晴らしい作品だわ。

本編再生中にデブっちょおじさんマークが出てきたら、リモコンキーの決定を押すとドキュメンタリー映像が見れるなどの仕掛けもあり、実にユニークなの。本編の素晴らしさは勿論だけど、紙ジャケに包まれた3枚目のディスク「Come rain or shine」が最も素晴らしかった!

この特別ディスクは、彼らの最初のミーティングからローマ公演迄の舞台裏を収録したもので、いかにこのツアーが作り上げられていったかが良く分かる秘蔵映像満載なの。ドラムが思う様に叩けずスティックを投げるフィル、終始完璧なトニー、いつも笑を絶やさないけど言う時はガン!と言うマイクの素顔・・・3人が3人ともお互いを信頼し合い妥協無く物事に取り組む姿勢は、とても羨ましくて何だか泣けてくるわ。

そして最も見どころなのは、本番前々日に"ボタンプッシャー"という映像ボタンを押す係に任命された男性が顔面蒼白で映像担当男性と一緒にプレッシャーを乗り切るというドキュメント!音と映像は手動で操作する為シンクロしないとショウ全体が台無しだし、映像を巻き戻す事が出来ないというプログラミングなので一歩間違えば・・・。

担当男性2人は寝る間もなく、全曲歌詞を全部かき出しオリジナル・キューシートを作ってボタンを押す事に全神経を集中させるの。見てるだけでドキドキものよ!でもこういう1人1人の努力があってあのビック・ショウは作られているのね。

出来上がったセットの完成図にやり直しを言い放ち、名曲"Mama"の『haha-ha』の部分のライトの当て方ひとつにこだわり、お客様に楽しんで頂く為にライトを減らしたりしない・・・色々な所で妥協せず地道に推し進めていくという姿勢が彼らのトップたる所以なんでしょうね。

大物と言われるほど華やかな印象を持たれがちだけど、大物になればなるほど地味で地道であるという事を思い知らされました!ああ、日本にお越し頂けなかったのが無念〜無料でなくて良いから日本で見たかったなあ・・・。

081003.jpgキャメロット

ゴースト・オペラ

キャメロットの07年作品「ゴースト・オペラ」・・・そのアルバムのタイトルを見た瞬間、只ならぬ妖気を感じたわ。中世の雰囲気を持ち、バイオリンを激しくかき鳴らす男性のジャケットも鬼気迫るものがあるの。

ジャケットの通りの音が飛び出してきたわ!クラシカルでパワフルな音の波、メロディーラインの美しさ、テクニック、世界観・・・どの部分も素晴らしい。どうすれば自分たちの音を思う通りに表現出来るか細部まで工夫されて作られており、レコーディングの達人とでも言うべきかしら。

バンド名は伝説のアーサー王がいたというキャメロット城に由来するそうなのだけど、彼らのどのアルバムからもその雰囲気が漂っているから、このカラーはバンドのテーマなんだと思うわ。

分析好きの日本人にはメロディック・パワーメタルとか様式美系とか言われてるけど、ピポ子的にはズバリ"エロイムエッサイム"系!ボーカルのロイの髪型が水木しげる原作の悪魔くんに似ているせいもあるけど、ルックスも声も良いからちょっと腹立たしい。

彼の声は張り上げなくても幾重にも連なる音に呑まれる事なく、しっかりとした低中音で存在しているの。しかも腰を低くしたり立ち上がる姿が大変美しく、程良く体力を温存しながら声を出すのに無理が無いフォームになってるのよ!

長いツアーに耐えられるし絵になるし・・・参った!音も然る事ながら映像も素晴らしく、YouTubeでアクセスが集中し彼らの為に別枠が設けられたほどよ。

DVD「ONE COLD WINTER'S NIGHT」に収録されている『March of Mephisto』の無検閲バージョンは大変良く出来ており、金色に近いトーンにコントラストの強いメンバーとメフィストの姿は"現代に蘇った伝説"というべきか・・・。

日本でもビジュアル系といわれる人達が中世ぽい演出をしているのを見かけるけど、上辺だけ真似ているから薄っぺらいのよね。彼らのようにお国柄もあるけど根底が1本通っていると、細胞レベルであの世界観が匂い立ってくるから敵う訳が無いわよ。

何事もひとつの事をじっくり貫いてやれば濃度が増すという事なのね!今後のレコーディングの参考に・・・いや本人達に会って話を聞きたいなあ。

081019.jpgミートローフ

クラシック・アルバムズ/地獄のロックライダー (DVD)

ジャック・ブラック主演の映画「テネイシャスD」で見かけてから気になっていたミュージシャン"ミートローフ"のDVD「クラシック・アルバムズ/地獄のロックライダー」を見たわよ!

本編ではミートローフの初アルバムを作曲をしたジム・スタインマンが成功までの道のりを語り、本人やメンバー、スタッフが当時を語るというドキュメンタリー作品なの。

噂には聞いていたけど、若き日のミートローフはその名の通りどこもかしこもまんまるで、ピポ子のPODCAST「レジェンド・オブ・デブ」に出てくるミュージシャン"肉太郎"そのものなんで驚いたわ。

歌唱力も然る事ながらその表現力は素晴らしく、"ライブに生きる男"と言うべきかしら。物語仕立てになった楽曲をミートがオペラ風に歌い上げる・・・もともと役者だった彼は曲ごとに自分の演じる役を変えて歌い、ステージ上で思いっきりパフォーマンスをしていたそうよ。

その為舞台から降りると倒れてしまうほど疲労し、揚げ句の果てには声が出なくなってしまったんですって。この歌への取り組み方やパフォーマンス、更に喉を痛めるという状況迄以前のピポ子と全く同じで、お肉が沢山付いている事以外他人とは思えない。

今、時を超え彼の作品に触れるというのは、巡り合わせのような気がしてならないわ。当時唯一の理解者であるトッド・ラングレンによってレコーディングされたこのアルバムは何処へ行っても門前払いだったけど、ミート軍団達は諦めないで何年も売り込み続けたというのだからその根性は物凄いものがあるわ!

これだけ個性的なスタイルは今も昔も皆無だけど、作曲を担当したジムも相当の変り者みたいね。彼はバイク事故に対して異常な執着を持ち、その結果生まれたのがヒット曲「地獄のロックライダー」なんだそうよ。

事故について話す彼の顔は嬉しそうでちょっと怖い。当時スリムさんが奏でるロックが全盛期の中、この肉厚と個性的サウンドは見事時代の申し子となったわ!大成功を収め、脱落(破産)し、そして這い上がった今もミートローフは歌い続けている・・・いつの世も、自分を信じて諦めず続けるという事が後の結果につながるのね。

これから色々な事に挑戦していこうという方に是非見て頂きたいDVDだわ。実写版「レジェンド・オブ・デブ」を作る時はオファーしたい!!!

081012.jpgメイシー・グレイ

ライブ・イン・ラスベガス (DVD)

映画を見ていると、しばしばライブシーンで歌姫メイシー・グレイを見かける事があるわ。彼女のアルバムは持っているけど、ライブを見た事が無かった事に気付き2003年「メイシー・グレイ ライブ・イン・ラスベガス」を早速チェックしたの。

大きなネオンサインやパートごとに円形のお立ち台が設置されたディスコテックなセットに、メンバーの衣装は差し色にピンク。70年代を意識した空間に巨大アフロのメイシー姐さんが現われれば、ステージは一気に華やかになりお客さんもヒートアップよ。

アルバムを聴く限りでは、姐さんの素晴らしいハスキーボイスで淡々と歌うイメージがあったのだけど、G、B、Key、Dr、PerにDJという今時な構成が意外だったわ。DJはスパイス的な音を出すのではなくリズムの要になっているし、ドーンとしたバンド演奏ではなく、各パートの"粋な部分"を楽しんでもらうといった音作りなの。それはきっとメイシーのスペシャルボイスがあってこそ成り立つんでしょうね。

魅力ある声を持つ人には、どんな大掛かりなものも必要ないという事が立証されたわ。彼女のテーマは"セクシー"で、絶えず客席に向かい「セクシーな人は踊って!」と連呼していたのが印象的よ。動きが鈍かった2階席の観客全員を総立ちにさせるという気合いは実にお見事で、ピポ子も以前ライブ中、2階席の観客にはっぱをかけた事を思い出したわ〜。

どんな大きさのハコでも、そこで見ていてくれるお客様全員に楽しんで頂けるように八方に気を配るのは当然の事。なかなか難しい事だけど、最も大切な事だわ。そして、もうひとつの見どころは姐さんの出で立ちよ。白のスーツ、レッドのビスチェドレス、ゴールドのマーメイドラインのドレスのラインナップはどれも巨大アフロにバッチリはまっていて、楽しいパーティにお呼ばれした気分になるわ。

これだけの実力を持っている上に、人を楽しませる事を常に考える人だからこそ注目されるんでしょうね。寂しい秋の夜長は、メイシー姐さんとのパーティをお薦め!

Music Review

2008 10
ジェネシス / When In Rome 2007
キャメロット / ゴースト・オペラ
ミートローフ / 地獄のロックライダー
メイシー・グレイ / ライブ・イン・ラスベガス

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