Music 2009_03

ターヤターヤ

My Winter Storm

冷たい風が頬をなでる時・・・1人で夜中に歩く時・・・必ずiPodから聴こえてくるのは歌姫"ターヤ"の囁き。彼女は、以前紹介したシンフォニックメタルバンド"Nightwish"の前ボーカルよ。

バンド在籍時のターヤは絶対的な存在感と歌声で観客を魅了していたわ。でも、いつしかメンバーと彼女の間で亀裂が生じ、ツアー最終日のライブ後ターヤは解雇を書簡で通告されるの。この衝撃的な事件後、彼女はショックを乗越えソロアルバム「My Winter Storm」を発表、その当日に地元フィンランドでゴルードディスク認定だって・・・驚き。

そして聴いてみたら・・・度肝! 20曲にも及ぶ長編小説にターヤが凝縮されていた!彼女のオペラボイスに小気味良いへヴィさが絶妙に融合され、NW時代より更に研ぎ澄まされた美しさを味あわせてもらった気がする。

特に心をえぐられたのは1曲目の『I Walk Alone』!この曲名にターヤの"1人でやって行く"という意志が表れている気がしてグッときたけど、メロディーラインの美しさは一度聴いたらもう虜!!何度聴いても雪の中を1人で歩いている気がするし不思議と寒くなってくるの。これほど歌に温度を感じさせるとは・・・リスナーをトリップさせる事が出来るなんて、一体何者なんだ、ターヤ!

アルバム中一番のお気入りは『Ciaran's Well』! これは狂気の沙汰といって良いほど恰好良い。決してロック系Vocalでは有り得ない発声、壊して叩いて再構成した上にターヤの得意とする部分をてんこ盛りにしてる感じよ。ライブでどう再現するのかが楽しみだわ。どの楽曲も実に巧みなアレンジが光り、うっかり1曲聴いてしまうとそのままアルバム1枚聴きこんでしまう。

更に別の意味で度肝を抜かれたのは、彼女、アリス・クーパーの「POISON」をカヴァーしてるのよ!オリジナルの雰囲気はそのままに、即効性のあるどす黒い毒から、透明でキラキラとした徐々に効いてくる毒になってたわ。もう撃沈!

母国フィンランドでは既にターヤに影響されアーティストを目指す若者たちも数多いと聞いたわ。クラシックでもなくロックでもなく、この独特の音楽性はやはり北欧ならではなんだろうなぁ。それにしても、この底知れぬオリジナリティの源は一体何なのか・・・どうしてターヤはそんな国民に最も愛される歌姫に成り得たのか・・・フィンランドの音楽事情が気になる・・・関係者に聞いて後日ブログでお届けするわ! いや〜たまりませんなぁ。

(ターヤofficial site)
http://www.tarjaturunen.com/index_en.php

Spock's BeardSpock's Beard

Feel Euphoria

一般的な音楽業界からは敬遠されがちなプログレッシブサウンド。でも世界的には続々面白いアーティストが生まれているので、むしろファンは増える傾向にあるのよ。それにプログレファン層の購買力は独自のものがあるわ・・・それはまた別の機会にお話を。

プログレが一般的でない理由は簡単ね。FMその他の媒体で流してもらえない事よ。なにせ一曲10分以上ある楽曲が主体だから・・・。ある有名なDJの方がPINK FLOYDをON AIRした時にこんな事を言っていたわ。「僕たちはしゃべるのが仕事だからプログレ流すと不安になってくる・・・皆、聴いててくれてるのかなぁ〜」と。・・・分かる、その気持ち!その結果、街には似たようなポップスばかりが氾濫しているわ。

Internetが普及して”Internet Radio”なる新しい媒体が登場したのをキッカケに音楽伝達も一変してきたわ(日本は色々な規制で今だ旧態依然だけど・・・)。その温床を受けたのがプログレで、1990年代半ばぐらいから才能あるアーティストがあまた出現。Internet Radioでは30分の楽曲もフルコーラスで流れてるし、気に入ればそのままCDを購入できるシステムになっている場合が多いの。

今日はその中でも、プログレ第三世代の扉を開けたアーティスト達で「Spock's Beard」を紹介するわ。

LAのセッションミュージシャンで結成されて、既に多くの名盤として評価されてるの。その中の一枚で2003年の「Feel Euphoria」がピポ子のお気に入りよ。デビュー当時からバンドの世界観だったVocalが脱退して、叙情性とハードな部分がとっても心地よいバランスに仕上がってるの。プログレ第三世代の特徴である"適度にPOP"な部分があり、様式美を保ちつつも古典的なテイストはあまり感じないのよね。ちなみに、叙情性が勝った2000年の「V」も素晴らしい出来栄えよ!

そして、クレジットを見てみると、ここのキーボードはRyo Okumotoという日本人じゃないの!頑張ってるわね〜!日本の音楽メディアもこのような人達をもっとピックアップして欲しいわ!

音楽は読んで字の如く音を楽しむ・・・。その楽しみ方や表現方法は様々あるものよね。Internetの普及はある意味、能動的な人達にはこの上ないサービス網に違いないわ。流れて来るものだけを受取るのも楽しみ方ひとつだけど、ピポ子的には自分で世界を探し回る事もできる時代になったのだからこの機会を充分に満喫させて頂くわ!

-Spock's Beard web-
http://www.spocksbeard.com/

-プログレ専門Internet Radio「Progulus」-
http://www.progulus.com/

フレディー・マーキュリーフレディー・マーキュリー&モンセラート・カバリエ

バルセロナ

91年に他界したフレディー・マーキュリー、言わずと知れたQUEENの歌い手ね。誰も真似する事のできない声とスタイル・・・今ではCM等でもお馴染だから、ロックを普段聴かない方々でもその名前は轟いているわ。QUEENのフレディーは勿論だけど、あまり知られていない生前最後のレコーディングとなった1988年ソロ・アルバム「バルセロナ」はブラボー!

何と、共演はスペインの世界的プリマドンナ、モンセラート・カバリエよ。

メインの楽曲「バルセロナ」は、その後バルセロナ・オリンピックのテーマにもなったので、サビの『バルセロ〜ナ〜』と駈上りながら歌い上げる象徴的な旋律はご存知の方も多いはずよ。でも、このアルバムは全ての楽曲を聴く事でその凄さが体感出来るの。

カバリエはこの道一筋の筋金入りの”蝶々夫人”。バルセロナ出身で一夜にして名声を得たと言う近代オペラの重鎮よ。フレディーは彼女を口説き落とす為にランチの席上で2曲レコーディング済のTapeを持参し、OKを取付けたんですって!

思うにこの頃、フレディー自身は自分の病について知っていたような気がするわ。元々、肉声を楽器として表現させた彼だから、自分の今生の最終地点として憧れのカバリエと共にオペラを表現したかったに違いない!・・・とピポ子は思うのよ。

このアルバム・・・単純に"オペラ的"と表現するのはとても稚拙。楽曲の深さやその詞に込められた思いは本当に”美”につきるわ。日本をこよなく愛したフレディーはカバリエと日本語で歌っているのよ!!「遠い国のあなたに魅せられて、あまりにも美しい・・・」。あぁ〜何て優しさが宿った歌いっぷりだこと!!!! 優しさだけでなく、感謝や尊敬、そう・・・これこそが愛がこもった表現なのね。

テクニカル的に驚いたのは、何とカバリエがゴスペルを歌っているではありませんか! あのカバリエが・・・。同じ音楽でも平行世界に居るかのようにあまり交わる事のない領域、企画的には存在してもここまで真剣にロックアーティストと向き合ったプリマドンナは存在しなかったわ。

「音楽って何?」と自問自答した時に、ピポ子はまだ答えられない・・・。プロ・アマ関係なく、それぞれの自己表現だろうけど、このアルバムを聴くと漠然と何か答えのようなものを感覚的に得る事ができたわ。

そしてフレディーは最後の楽曲でこう歌ってるの・・・I Will be Back !!

(フレディー&カバリエ LIVE映像)
http://www.youtube.com/watch?v=Wixz_r7v51E

ミッシーエリオットミッシー・エリオット

The Cookbook 他

ラップ系は普段あまり聴かないけど、ミッシー・エリオットは別格よ。

その威圧感、その表現力、その影響力・・・凄いわよね。ジャネット・ジャクソンのLIVEを見てたら正味1分ほどの出番でJJをすっかり食ってしまったわ。もう、彼女は妖怪??の域に達しているのかも・・・。

毎回、意表をつくスタイルで確実にジャケ買いを誘う見事なアルバムデザイン。プロモーション映像もアイディア満載でコミカルながらシュールなメッセージを含む構成力!ラップというジャンルを明らかに確立させ以後も牽引しているアーティストよね。ピポ子的には最近のラップは金品自慢や女自慢のアーティストばっかりで特に魅力は感じないわ。「俺のダイヤはバスケットボール並だぜ!」と歌われてもね・・・。その点、ミッシーはテーマ性があって独特の節回しはリズムだけでも魅了させてくれる。

2005年の「The Cookbook」以来、新作はリリースされていないけどこれだけ充電していると次回作は物凄い作品になりそうね。才能豊かだから他のプロデュース業で忙しいのだろうけど、見たい、聴きたい、ミッシー姉さん!

adidasと共同でオリジナルブランド「Respect M.E.」を立上げている彼女。最新PVでは目茶苦茶キュートなウェアをお披露目していて、これがなかなか良い感じなのよ。欲しいよ〜!!毎度感心することだけど、常に"魅せる"事に全力投球の姉さん・・・あっという間に彼女の世界に引き込まれちゃう!もう既に頭の中はウェアと靴が回ってるわ・・・。

そうそう、アルバムでは様々なアーティストがフューチャーされるけど、必ず、名前を呼ばれるのよね、ヘイ!ビヨンセ!、ヘイ!ジャネット・・・、その内、ヘイ!PIPOKO!!と呼ばれてみたいわね。

(ミッシー最新VIDEO)
http://www.missy-elliott.com/video.php

Music Review

2009 3
ターヤ / My Winter Storm
Spock's Beard / Feel Euphoria
フレディー・マーキュリー / バルセロナ
ミッシー・エリオット / The Cookbook

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