Music 2009_07

Children of BodomChildren of Bodom

Blooddrunk

次々と素晴らしいアーティストを送り出し始めたフィンランドからまた面白いバンドが・・・それは「Children of Bodom」。1997年デビューなので、既に10年以上のキャリアを持つ実力派なのよ。

そんな彼らの2008年のアルバム「Blooddrunk」を聞く機会があったの。彼らに関しては何の事前知識もなかったけど、フィンランド系という事で興味を持ったのよ。でもバンド名の由来が実に怖い・1963年にヘルシンキ近郊のボトム湖で4人の男女が湖畔でキャンプ中に斧で3人が惨殺、残った1人も発狂・・という13日の金曜日のジェイソンもビックリの事件をヒントに命名したんだとか。気合いが入ってるとしか言い様がない!

ジャンル的には北欧系デスメタルらしいけど、このアルバムに関してはあまりデス系を感じさせないかも。ベーシックなメロディはNightwishにも共通する優しさがあるし、フィンランドのオリジンを感じさせるフォーク的な要素も強かったから。

勿論ヴォーカルは地鳴りような低域でどんどん攻め込んでくるのだけど、どこかに温かさを感じるのが不思議なのよ。ジャケットも血みどろだし、歌詞も地獄三昧なのだけど・・やはりアーティストの人の良さがでてしまうのかしらね。

以前日本でも、ロードランナー系の日本人アーティストがデスメタルバンドを結成し活動していたけど、デス声をキープするのは容易ではなく喉に支障をきたしてしまったと聞いた事があるわ。やはり喉を絞って発声するからかなりの負荷がかかってしまうんでしょうね。

怒りやパワーを表現するという意味合いであの声はかなりの存在感があるけど、持続させるにはかなりの体力と訓練が必要なんでしょうね。しかし、メロディーライン無用の唯我独尊ボーカルを援護射撃をする楽器隊の美しき調べ・・・どんな残虐な事件さえも"森の神話"のように聞こえてしまうフィンランド・マジック・・恐るべし!

090710.jpgトム・ウェイツ

MULE VARIATIONS

「トム・ウェイツ」はいつも人を驚かせるわ。その声、その表現、その存在・・どれをとってもアートとしか言い様がないのよね。

彼のアルバムを何枚か持っているけど、どの作品もギョッとさせられてしまう。酒瓶と煙草と安い香水の香りがしてきそうな昔のブルージーな世界観が1番好きだけど、1週間に1回は聞きたくなるのが、1999年の「MULE-VARIATIONS」というアルバムなの!

トムの前期は、人間臭さ満載の色合いが主流だったけど、後期は映画も手がけていたせいかかなり実験的な要素が色濃くなっていて正直聞きづらい部分もあったのよね。でもこの作品は前衛的になり過ぎてはいないけど、音的にも構成的にも尖っていて心地よい敗北感を覚えたわ。

彼の声は卑怯なほど格好良い。音楽的、理論的なものをすべてを超越している・・・ある意味無敵なのよ!どんな楽器が挑んできたところで到底勝てる訳がないわ。オブリガード的に時たま顔を出すホーンやギター、パーカッションというより"その辺にあった太鼓ひとつ"の音がキーマンになっていたり、彼自身の声やその場に存在する音にちょっとしたエフェクトをかけてループにしてみたりと、ピポ子が長年挑戦したかった方法を次々と形にしてしまっているの。

でもこの方法は付け焼き刃では出来るはずがないのよ。トムの世界観と表現力と声があって初めて完成されているんですもの!

だからこそ自分が挑戦するときは、十分な期が熟してからでないと薄っぺらいものになってしまうわね。お薦めは、トム自身の声がループになっている1曲目の「Big In Japan」と14曲目の太鼓の音がお腹にずしっと来る「Fillpino Box Spring Hog」・・他にも度肝を抜く作品が目白押しなので機会があれば是非皆さんにも驚いていただきたいわ。

どんな言葉で彼の事を伝えようとしてもなかなか良い言葉が出てこないの・・彼は音楽という手段を使って己のすべてをぶつけてくるから。ああ、今も酒瓶片手に笑いながら何かを創っているんだろうな。かなわないなぁ・・。

Music Review

2009 7
Children of Bodom / Blooddrunk
トム・ウェイツ / MULE VARIATIONS

Music Review TOP PAGE