Music2008_04

img3f6f17e6zikdzj.jpegビョーク

ホモジェニック

ピポ子がビョークのアルバムで一番好きなのは「ホモジェニック」!

ジャケットを目にした時、まず独創的なデザインにノックアウトされたわ。アフリカの首長族の様なネックレスの重ねづけ、そしてアレキサンダー・マックインの、和テイストの効いた着物風ハイカラーのトップス・・・あまりの"神秘"ぶりに怖くなったくらいよ。

音に触れた瞬間感じたのは、"氷の中にいるような寒さ"そして"血の通った暖かさ"の二極の感覚。まさしく彼女の生まれ故郷であるアイスランドがここに存在しているわ。

楽曲の素晴らしさは言うまでもないけど、1曲目の『ハンター』は情景が目に自然と浮かんでくる程ドラマティック!常に獲物を求め、立ち止まらず旅を続けるハンター・・・自分の使命を全うさせる為にすべてを捨て1人で挑んでゆく。

一つ気になったのは、歌詞の中に"スカンジナビア的"という言葉が出てくるのだけど、この部分をどう捉えたらいいかが悩みどころなのよ。壮大な自然を受け入れるべく生きよという事なのか、それとも装飾した世界からの原点回帰を促しているのか、はたまた女としての在り方を問うているのか・・・実に深い。

続いて2曲目の『ヨーガ』は緊急事態に直面した人間の感情が見事に表現されているの。生と死のギリギリの部分、そこには恐怖と絶望が存在すると同時に"究極の美しさ"が存在するのよ!

ビョークはこのアルバムで、命の雄々しさと美しさを二極の温度で感じさせてくれたわ。彼女の天才的な感性と情熱にはいつも脱帽だけど、視覚聴覚だけでなく体感温度すら奪われてしまうこんな魔的な作品は他にはないでしょうね。無い・・・無いなあ・・・。

imgaf3fa2d1zik5zj.jpegピンク・フロイド

P・U・L・S・E (DVD)

「ピンク・フロイド」の伝説的な演出のLIVE・DVD 『P・U・L・S・E』!彼らはプログレの代名詞の様に言われるけど、その哲学的、文学的な世界観は他と一線を画しているわ。

ピポ子が初めて聴いた曲は"マネー"なの。この曲を筆頭に、人間の滑稽さを思いっきり皮肉った作品の数々は、ピポ子レーダーを惹きつけてやまないのよね。音楽関係者が彼らを捕まえ「どちらがピンクさんでフロイドさんですか?」と聞いたというおかしなエピソードを、自分のアルバムの作品にしてしまうというセンスにはやられた!と思ったわよ。

超ウルトラ級の演奏、人間を別次元から捉えているような歌詞、見るものを圧倒するライブステージ・・・この全てに挑みかかってゆく姿勢には完敗。

ピポ子家の65インチモニターで鑑賞したら、あまりの臨場感に言葉を失ってしまったわ。ありったけの光を集めたのではないかと思えるほどの照明の洪水、目を光らせ客席をにらむ巨大なブタ・・・次々と展開する前代未聞の演出の数々に口があんぐりよ!

一番印象的だったのは、女性ボーカル3人組による"虚空のスキャット"3人が3様にそれは見事なスキャットを展開するという鳥肌もののシーンなの。

歌詞ではなく、声だけで表現するというのは究極の行為ではあるけど、歌というのはもともと音を伝える所から始まった訳だから原点回帰というべきかしらね。もしピポ子がこの場に立って歌うとしたらどうするだろう・・・ああしようかこうしようかと悩んでしまう。とにかくボーカリストは必見だわ!

華々しいステージの中、普段着の様な服装で演奏しているメンバーを見て「ああ、この人達はお客さんに楽しんでもらう事だけを考えている。自分たちの表現を出し切る事に徹しているのだ」とエンターテインメントというものに真摯に取り組んでいる姿勢を見せつけられ、襟が正される思いがしたわ!

ピンク・フロイドに影響を受けたアーティストは多いけど、彼らを超えるアーティストは未だにいないという理由がこの映像から理解出来たような気がする・・・参りました!!

Music Review

2008 4
ビョーク / ホモジェニック
ピンク・フロイド / P・U・L・S・E

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