Music2008_05

imge39a9b0bzik6zj.jpegハイラム・ブロック

ギター・マン

好きなギタリストは?と聞かれてすぐに"誰"と答えられないピポ子。でも、何人か思い浮かぶ中に必ず現れるのが彼・・・"ハイラム・ブロック"よ!

約10年くらい前に、青山のブルーノートで彼のステージを見た時はとにかくその大きさに驚かされたっけ。体の大きさは勿論だけど、そのプレイぶりというかパフォーマンスに圧倒されたの。

ハイラムは、マーカス・ミラーを始めとするトッププレーヤーにお呼ばれする人気セッションミュージシャンなのだけど、実力だけでなくその人間性が人を惹き付けるのかもしれない。笑顔で大きなお尻をフリフリしながらテーブルを渡り歩く姿は今でも脳裏に焼き付いてるわ。

そんなひょうきん者の彼から飛び出す音はどれも個性的!ピポ子が持っているアルバム「ギター・マン」はハイラムのギター魂がドーンと込められた1枚よ。1曲目の『グランドサン・オブ・クリーパー』では初っぱなからロック色満載で、途中『サマータイム』を彷彿とさせる展開も有って聞き応え十分だし、4曲目の「オール・アイ・ワナビー」ではこれまたスイートな歌声を披露してくれるの。ボーカリストとしてもかなり良い線だから、ちょっと腹立たしいわ。

ピポ子のお気に入りは『ヤオー』という曲なんだけど、これがまた恰好良い!なんと、これはハイラムの口癖である「ヤオー」という言葉をそのままタイトルにしたそうよ。曲間で連呼しているのがかなりほほ笑ましいわ〜。これだけのオリジナリティを持ちつつ、様々なシーンを演じ分けられるプレイヤーは日本に果たして何人位いるのかしらね・・・。

一つの楽器や声で色々な場面や世界を表現するというのはプレイヤーにとって"出来て当たり前"なのかもしれないけど、仕事で要求される"当たり前"と自分の奥底から発生する"当たり前"は明らかに質が違うわ。ハイラムはどちらも持ち合わせているけど、後者の割合が多いと思うの。ピポ子は100%後者でありたいから、常に自分を研ぎ澄まして色々な事を蓄えていかなくちゃ!でも、お肉は蓄えないように気をつけようっと・・・。

imgeb835a57zikfzj.jpegスティービー・サラス

バック・フロム・ザ・リビング

スティービー・サラスのアルバム「バック・フロム・ザ・リビング」を10年ぶりに聴いたわ。

ドカン!というインパクトはないけど、体の細胞のどこかに残るサウンドなのよね。本来ギタリストである彼のロックでファンクなプレイが前面に出てしまいがちだけど、このアルバムではボーカルにも要注目よ!

ちょっとハスキーでカラカラとした歌声は、ギターとぶつかる事のない絶妙なバランス。黒すぎもせず白すぎもしないから"グレー"というべきかしら・・・曖昧という事ではないわ、良い意味で主張し過ぎない心地よさがあるのよ。

歌詞もスティビーの等身大の世界観が展開していて、好感が持てるの。自分の辿ってきた軌跡、生き方への不安と葛藤・・・当時30歳の彼の真面目な姿勢が見えてくるようよ。

ピポ子が一番好きなのは6曲目の「ボーン・トゥ・マック」歌い出しはこう。"ベーコンみたいに炒められ、ハムとして梱包。陳列された食料品だ、そう俺には分かってる"これは女性に対して投げ掛けられた言葉で、最後には"お前はヒモの為に生まれたのさ"とあるの。

一見女性蔑視のように思えちゃうけど、女性に翻弄される男性の悲哀を歌っているとピポ子は解釈したわ。おいしそうな肉に例えられた美しい女性は結局誰かしら男性のものになる・・・そんなお決まりの事態を嫌味たっぷりで小気味良く表現しているのかも。

そういえば、以前雑誌のインタビューでスティービーが『ギターばかり取り沙汰され、歌詞に対して質問が少ない』と語っていた事を思い出したわ。この時点で彼はギタリストという枠を超え、表現者として新たなる一歩を踏み込んだのね!30にして立つ・・・ううん、お見事です!

imgb3af8f98zikczj.jpegKUDU

KUDU

2001年、KUDU(クードゥー)のデビューアルバム「KUDU」は一度聴いたら忘れないわ。

アウトラインがしっかりと描かれているというより、その不思議な浮遊感が印象に残るの。心地よい空間でまどろんでいるかと思いきや、次の瞬間には冷たい床にうつ伏せている・・・急な場面展開も見事なくらい自然にやってのけるから大したものだわ。

白人ツインキーボードにドラムとベース兼ヴォーカルが黒人という興味深い編成で、中でも歌姫の中低音が憎たらしいほど彼らの世界観にはまって、とてもクール!R&B、JAZZ、テクノ、プログレ・・・ピポ子はジャンル分けをするのが好きではないけど、彼らは各ジャンルのおいしいところを抽出した上でて独自の味付けをしてるので、"フューチャー・ソウル"とでも言っておこうかしらね。

1曲目からあまりの心地よさにあっという間に最後まで聴き入ってしまうけど、歌詞の世界にも要注目!2曲目の『シュガー』は恋人を"シュガー"に見立てながらも、その一方で隠語の"ドラッグ"の意味合いを含んでいるの。どちらもやめられない愛しい存在・・・いや〜毒々しくってイイ女ね!

そして、4曲目の『カンニバル』はタイトルの通り"食人"がテーマ。あ、スプラッターじゃないわよ!愛しい人を思えば思うほどその思いは募り、食い尽くしたいと思う女性の内面を歌ったものなの。どの曲も基本的にはラブソングだけど、切り口を変えればこんなに恰好良いものに仕上がっちゃうのね。

季節に合わせてタラタラと"好きよ〜"なんて時代錯誤な表現をしているのは日本だけかも・・・まずいなあ。ま、それはさておき、酔いたい気分になったらまずは彼らの音をお試しあれ!たちまち体中に適度なアルコールが流れ出す事間違いなしよ。ウイ、ヒック・・・。

Music Review

2008 5
ハイラム・ブロック / ギター・マン
スティービー・サラス / バック・フロム・ザ・リビング
KUDU / クードゥー

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