Movie2008_10

081005.jpg「トロピック・サンダー(史上最低の作戦)」

やり切る楽しさ

素晴らしいの一言ね。制作・原案・脚本、そして主演・監督も務めたのがお馴染ベン・スティラー。物語はベン・スティラー演じる落ち目のアクションスターと、ピポ子の大好きなジャック・ブラック演じる下ネタ系コメディアン、そしてロバートダウニーJr.演じるオスカー常連俳優の3人が新作戦争巨篇の撮影現場でそれぞれの背景の違いからもめ事が・・・。そこで怪しいこの作品の原作者が「役者をリアルな恐怖の中に放り込め・・・」と監督に耳打ち、そして実行されるのだが想定外の事態が起きてしまうの。

放り込まれたジャングルは麻薬製造地帯のとってもデンジャラスな場所。手の込んだ仕込みと勘違いする役者がリアルな戦闘に巻き込まれ、持ち前の俳優魂と個性でサバイバルしていくのだが・・・。というのがベーシックな流れよ~。

何しろ、監督のスティラーの映画好きが組込まれたこの作品を十二分に楽しむには「地獄の黙示録」「プライベートライアン」「レインマン」「エージェント」の視聴経験が必須ね。もちろん未経験でも楽しめるけど、おかしさ倍増間違いなし!他にも「ランボー」や「戦場に架ける橋」その他もろろの名場面もリスペクトされて映画マニアにはたまりませんな。

コメディだからと言って、アクションやセットが手抜きなんて全くなしよ。「ジュラシック・パーク」の撮影場所(ハワイ)に8週間も滞在しての長期ロケだし、最近のアクション映画と同等の火薬量を使用してるんですもの。その中で演じる3人+2人のボケぶりはピポ子的には羨ましいわ。

映画マニアは勿論楽しめるけど、もう一つ、米の映画制作の現場を知ってる人(究極!?)にとっては本当に大爆笑なのよ。一例解説すると、物語に登場する監督はイギリス人なんだけど、"紅茶野郎"とか罵られたり、最後には・・・ピピッ。実際の現場でもアメリカ人ってイギリス系の監督を嫌いな人が多いわ。英語のしゃべり方がまどろっこしいとか、理屈っぽいとかでね。だから最近の映画の悪役はイギリス系になる事が多いのよ。

それと、映画制作におけるそれぞれの立ち位置、つまり誰がその場のボスかって事ね。実はここでは詳細は言えないけど、映画のエグゼクティブプロデューサー役にある人がカメオ出演するのだけど、その考え方がデフォルメしてはあるものの事実なのよね。本当の意味で最高に笑えるのがこの人物。あ~言えないのが残念。

その他にも、黒人蔑視問題とかコメディながら巧みに脚色されてるし社会的な皮肉もたっぷり表現されていて素晴らしいの。サントラも良く出来てるし、またっくもって妥協がないコメディの大傑作と言っても過言ではないわ!!

081024.jpg「不都合な真実」

Mr.ゴアの挑戦

ピポ子の行きつけのスーパーでは、マイバックを持参するとスタンプを捺してくれるの。スタンプを20個集めると200円の金券と交換してくれるから、なるべくビニールの袋はもらわないようにしてるわ・・・でもこういう事が身近なエコロジーの第一歩なのよね。

そこで「不都合な真実」を見たわよ!
温暖化によって引き起こされる数々の問題に心を痛めたアメリカの元副大統領アル・ゴア氏が、地球と人類の危機を唱え人々の意識改革の為に世界各国を講演するというドキュメンタリー作品なのだけど、実に素晴らしかったわ!

政治家として長年観光問題に取り組んできた彼ではあるけど、自身の息子さんが事故に遭い奇跡的に命をとりとめ、子供達の生きる場所への危機感を感じた事をきっかけに本格的な活動を開始したというから、これを神の啓示ととっていいのではないかしら。

活動を始めてからは、ブッシュ大統領を始め色々な人から反感を買った上に"クレイジー"と罵られつつも、勉強と研究、現地へ足繁く赴き、人々に分かりやすく伝える努力を怠らなかったの。その結果、日本では以前から徐々にエコ活動はあったものの、認識の薄かった諸外国がようやく耳を貸すようになったのだから大したものよね。

ゴア氏の根底にある信念と精神力の強さは本当に見習いたいわ。しかし、彼の話の進め方は見事すぎよ!丁度プレゼンの準備をしていたピポ子にとって、バイブルと言うべきか!話すスピードや、箸休め的な冗談をおり混ぜながら核心へ誘うリズム・・・飽きさせず興味を持たせ、分かりやすく強くテーマを打ち立てる"ゴア・ワールド"は無敵!勿論彼の情熱のオーラがあって成立する訳なんだけど、いや~これは参りました・・・キャンキャン。

エンディングで、地球の温暖化を防ぐ為に自分たちに出来る方法が文字により表示されるのだけど、この文字の出し方もシンプルながら見事で脳裏に焼き付いたわ。見終わって自分もどうやったら地球を愛する事が出来るか、次の世代にどう渡せるのか真剣に考えさせられたのと同時に、『人に伝える力』の素晴らしさを実感したの。色んな意味で"納得"出来るので、ご覧になってらっしゃらない方は是非!!!

081010.jpg「クローバーフィールド」

脳震盪を起こしそうなリアル感

皆さん、映画「クローバーフィールド」をご覧になった?興味があったので見てみたけど、これが実に良く出来てる~。

突如現れた巨大で獰猛なモンスターに襲われるNYの街・・・ありとあらゆるものが破壊され、人間はどんどん喰われていく。どんな武器も歯が立たないモンスターを前に、人類はただ死を待つのみなのか・・・と言う風に内容を書くとゴジラかモスラのようだけど、実際こういう場面に遭遇したらきっと人間はこう思うだろうな、結果こうなるだろうなという部分が大変リアルに描かれてるわ。

登場人物の一人が手持ちカメラでこの出来事の一部始終をとらえるという設定は映画『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』を彷彿とさせるけど、途中転んだり走ったりして撮影された映像が更にリアルさを出しているのよね。

手持ちの為大部分の映像は振れているから、大きな画面で見ていると頭痛が起きてきたわ。編集する人は気分が悪くなりそう・・・しかしお見事!この事件は、録画されたテープの上に重ね撮りされた映像という設定になってるらしく、時たま楽しそうに休日を楽しむ登場人物の姿が惨劇の合間に現われることがリアルさに拍車をかけてるのよ~。

でも、映像は一体誰が再生してるのか・・・そこを考えると色んな結末のとり方が出来るから大変ユニーク。とことんリアルを究めるとパニック映画にならないのね・・・素晴らしい。
前半は登場人物の相関図を駆け足で捕え、その心の動きを細やかに見せてるけど、後半は死と向かい合った人間の強さと儚さを突きつけられた感じかしら。見終わった後つい乾パンのありかを探してしまったピポ子は、どうやらこの作品にやられてしまったらしい。

映画とわかっていても、脳が知らず知らずのうちに"超現実"を受け止めてるのだから・・・おそろしや。でも頭痛い~。

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2008 10
トロピック・サンダー(史上最低の作戦)
不都合な真実
クローバーフィールド

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