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デブって言うな・・・。

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20110623.jpgジュリー&ジュリア

人生を楽しむ名人になろう!

メリル・ストリープというほど、可愛らしい女性を演じるのが上手な人がいるだろうか。「恋するベーカリー」「ジュリー&ジュリア」両作を続けて見たのだけど、どんな若くて可愛い女優さんよりもドキドキさせられてしまったの。

今回ご紹介したいのは後者の「ジュリー&ジュリア」。

この作品は、アメリカ食文化に革命を起こした女性料理家ジュリア・チャイルドと彼女のレシピを1年で制覇しブログに載せる事にチャレンジしたOLジュリーの2つの実話を並行して描いたものなの。2人の時間軸に50年の差はあるものの、共通点は沢山あるわ。信念を貫く根性、自分を理解してくれる優しい夫の存在、応援してくれる友人・・彼女達は人生の目的を見い出し、努力し、そしてとことん楽しんでいるのよ。

ジュリーは当時男性ばかりのプロの料理教室で、基本的な器具の扱いすら出来なかったのに、目標を高く掲げ苦難を楽しむ事を忘れなかったの。天真爛漫に描かれていたけれど、常に前向きに努力し進んで行く姿が周囲の非難をかき消す結果となったわ。

一方ジュリアは、若妻らしく苦境が訪れると癇癪を起こしたりして旦那様に甘えてしまう。でも夫の家出によりいかに自分が愛され支えてもらっていたかに気付くの。この2家庭で繰り広げられる夫婦の強い絆は、独身女性にとっては目の毒かも・・結婚生活がこれほど素晴らしいのかと期待を持ってしまうから。

ともあれメリルと夫役のスタンリー・トゥッチは「プラダを着た悪魔」の共演が記憶に新しいけど、今回はうってかわった"羨ましい"夫婦を見事に演じていて惚れ惚れ!他にも当時の出版事情や印税の流れなど、現代と殆どあまり変わりないという事がわかってビックリしたわ。

しかし最も驚くべきなのは、ジュリーが料理を本格的に始めたのはなんと50代からという事実!30過ぎると「もう遅い」とか「今から始めても・・」というのが世の常だけど、彼女は50年以上も前に人生の折り返し地点で自分を輝かせたのよ・・素晴らしい!!

ど根性とはそれほど美徳ではない、好きな事を情熱を持って好きなようにやっていくというのが人生を輝かせ、最終的に自分を輝かせるのだということに気付かせてもらったわ。とにかく花嫁修業はお料理からね・・ボナペティ!

20110122.jpgニューヨーク東8番街の奇跡

奇跡は崖っぷちで起こるのかも・・

ちょっと疲れた時には、心がじんわりと暖かくなるような作品を見たくなるわ。そこでチョイスしたのが1987年の名作「ニューヨーク東8番街の奇跡」よ。

原題は「*Batteries not Included」・・電化製品によくある注意書きの「電池は含まれません」という意味なのだけど、このセンスが素晴らしいわ。

舞台はNYの東8番街にあるある古いアパート。再開発が進む中、大家の年老いた夫婦と住人達はアパートから立ち退かず頑張っていたけれど、立ち退きの執拗な嫌がらせは続き疲労困憊していたの。そんなある日UFOの夫婦がアパートに訪れ、住人達との不思議な共同生活が始まった・・というストーリーなのよ。

とにかく驚かされたのは、無機質なはずのUFOが情感たっぷりの役者として存在し、物語の核になっているということ。当時の映像技術ではかなり大変だったろうなと思われるシーンも多数あったけど、全く違和感が無いし、これだけ彼らが活き活きと演じきれているというのは実にお見事よ。

公開当時、SFファンタジーというカテゴリーにされていたけど、これは完璧な「人間ドラマ」だと言うべきだと思うわ。アパートの住人達のそれぞれの背景もよく描かれていて、亡くなった子供を未だ生きてると信じる老女、いつか迎えに来てくれる彼を待つ若き妊婦、孤独の中でひっそり生きるボクサーなど、その中にも幾つもの細やかなストーリーが存在するの。

悪役の立ち退き屋が、老女の母性によって人間としての温かみを取り戻すという一見ベタそうな展開も、自然にグッとくる仕上がりになっていているのはさすが。UFOはあくまでエッセンスであって、登場人物達のドラマの分だけ、共感出来る範囲が広いというのもお見事と言うべきかしら。まだまだ寒さが厳しい日が続くこの季節、熱いお茶でも飲みながらゆっくり楽しんで欲しい1作ね。

100710.jpg茄子 アンダルシアの夏(2003)

日本初サイクルムービー!

2010「Tour de France」開催中!サッカーに押され気味に見えるけど、ロードレースは盛り上がっているわ。自転車にはそれほど興味は無いのだけど、レースで色とりどりのウェアに身を包んだ選手が一斉に走る姿は壮観。最近は節約と健康ブームで自転車に乗る人が増えたけど、日本では意外と昔からサイクルファンが多いのよね。2003年に公開されたサイクルアニメ「茄子 アンダルシアの夏」もそんな自転車を愛する監督率いるスタッフで制作された作品よ。

日本ではこれまで本格的なサイクルムービーは存在しなかったから、ある意味金字塔を打ち立てたと言って良いかも。物語はスペインが舞台なの。プロロードレーサーのぺぺが"ブエルタ・ア・エスパーニャ"という自転車ロードレースを戦い抜くお話なのだけど、レース中に知る解雇の危機、恋人と自分の兄の結婚という複雑な状況がエッセンスになっていて、自転車萌えだけでなく人間ドラマとしても実に良くできているの。

マイナス要因を振り切り自分の"自転車道"を貫くぺぺの生き様、地域の人達が家族のように彼を暖かく応援する姿・・人間描写やキャラの心の動向も見事に表現されていたわ。ぺぺがゴールを争う瞬間、それまでなめらかなトレース線が一変、何重もの線で構成された勢いある作画になり、鬼気迫る緊張感が画面から飛び出してきたのも素晴らしい!何よりマニアにはたまらないツボが要所に盛り込まれているのも凄いわ。

有名選手をモデルにした登場人物、レース解説に元レーサーの市川氏の起用や、実際のレース中継には必ずお目見えする巨大なオズボーン社の牛の看板の登場やレース後の薬物検査の様子など・・これだけのこだわりを見せつけられると、予備知識をもって再度見たくなっちゃう。公開当時、監督が宮崎駿氏の右腕だったということでその部分がピックアップされてしまったのは残念だったけど、この作品はジブリとは関係ないし、サイクルムービーとして日本を代表する映画だと思うわ。

エンディングの「自転車ショー歌」は、自転車好きの故忌野清志郎氏が歌っているから感動ものよ!どこを開けてもそれぞれの楽しみ方が出来るというのも今作の強みかも・・ちょっとマニア気分になりたい方にオススメ!

Movie Review

新旧含め、
ピポ子が気になる映画をピックアップ

2010 4-2011 7
ジュリー&ジュリア
ニューヨーク東8番街の奇跡
茄子 アンダルシアの夏

2010 3
マイレージ・マイライフ
ココ・アヴァン・シャネル
ヒラリー&ジャッキー
ウェインズ・ワールド

2010 2
Dr.パルナサスの鏡
ラブリー・ボーン
モンスターvsエイリアン

2010 1
アバター
カールじいさんの空飛ぶ家
ゴッドファーザーPart2

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