Movie2008_01

img722df1e0zik4zj.jpeg「フレイジャー」

キング・オブ・シトコム

今まで生きてきて、これほど面白いシトコム(シチュエーション・コメディ)を見た事はないわ!それは「フレイジャー」よ!!

11年のロングラン放送という記録とともに数々の賞に輝く人気も実力も超一流のコメディなの。日本では第3シーズン迄しか放送されてないのが残念・・・。

物語はこうよ。

精神科医のフレイジャーは地元のラジオ局で悩み相談を行う人気パーソナリティ。離婚して独身貴族の彼は、高層マンションに自分好みの家具を置き優雅な楽しんでいたのだけど、元警官の頑固な父親とその愛犬、住み込みのホームヘルパーと生活する事になり、更に一風変わった弟が加わってドタバタ騒ぎに巻き込まれるの。

ピポ子イチ押しキャラはフレージャーの弟!神経質で見栄っ張りで気が弱く、心の奥底で家族を愛しているのに素直に表現できない・・・その為いつも突飛な行動に出てしまうのよ。ハンカチで椅子をふと拭きしたり、人形の様にカクカクと歩く姿はその性格を見事に現しているわ。

どのキャラクターも濃すぎるほど濃いけど、決して消化不良にはならないの。それはきっと絶妙な"間"が存在しているからなのかもしれない。テンポの良い会話が行き来し、最終的に"ふっ"とした落ちがつく迄の間・・・これは日本のドラマでは有り得ない気がするわ。

そして物語の背景には男性の"照れ臭くさくて表現しづらい"家族への愛が描かれ、大笑いの合間にほろりとする要素満載でグッと心を掴まれるの!役者陣のレベルの高さも然る事ながら、吹き替えも素晴らしくってオリジナルよりオリジナルと言っても良いくらいよ。

ストーリー、キャラクター、テーマ・・・どこをとってもずば抜けてる!!この作品について語りだしたらきりが無いわ。日本の配給会社さん、お願いです!11シーズン迄放送して下さい!!日本のコンテンツが低迷していると愚痴る前に、こういう素晴らしい作品に触れる事が大事だと思います!そして国力アップに繋げていこうではありませんか!!!

img1bcbb08ezikfzj.jpeg「ロード・オブ・ザ・リング」

壮大!叙事詩、情熱と絆

「ロード・オブ・ザ・リング」三部作!! 

長編映画って苦手だったんだけど、この作品は別格ね。お話自体が壮大だし長編だから、どこかに緩みが現れるかと思いきや・・・とんでもない!細部に渡るこだわり、技術力の高さ、どこをとっても後に公開される映画を見ると、いかにこの作品の影響が大きいかという事がよく分かるわ。

プログレバンド"シンフォニーX"の最新アルバムのジャケットを見ても一目瞭然!悪の親玉の姿なんかほぼ同じだもの。物語は、世界を滅ぼしてしまう魔力を秘めた指輪を巡り勇者9人と闇の勢力との戦いを描いたものなのだけど、「映画を見てる」というより自然と「絵本を読んでる」という感覚に近いの。

キャスティングのこだわりや役者さんの力量、小道具ひとつひとつのディティール・・・そして何より物語の背景をきちんと捉えて作られているからすんなり"入ってくる"んだと思うわ!見どころが多すぎてどの部分とは指定できないけど、ピポ子の興味は異形の敵方ね!本当に見た事あるんじゃないかと思う位の肌の質感やリアルさにはドッキリ。

特に物に食らいつくシーンは感動モノよ〜!モノづくりとはかくあるべきと思い知らされました・・。作品のテーマである人間の感情・恐れ・悲しみ・疑念、そして死は見事に表現されてるし、神話をベースにした物語は世の中に沢山あれど、こんなに見事なエピローグの描き方をした映画は初めて!!

製作者の情熱と出演者の絆がここまでの作品を作り上げたのかもしれないわね。ピポ子も後世に残るような作品を作らなくては・・・!その為にもひとつひとつの作業を大事に積み重ねていこう。

imga20dec59zik7zj.jpeg「アメリ」

赤と緑の現実、一筋縄ではいかない!

2001年頃ちょっとした社会現象を起こした映画「アメリ」

公開当時雑誌等で"お洒落"、"可愛い"、"小粋なフランス映画"・・・なんていう評判を耳にしたけど・・・と、と、と、とんでもない!オープニングから凄く怖い。只ならぬ妖気のようなエネルギーを全編から感じつつ堪能したわ。

内容はね、神経質な母と冷淡な父に育てられたアメリは、心臓に障害があるという父の勘違いから外部とは遮断された環境で暮らすの。でも彼女は想像を膨らまし自分の世界で生きる事を楽しんでいたのよ。事故で母が亡くなり、やがて成長したアメリはアパートで一人暮らしを始めカフェで働くようになるの。ある日家で偶然見つけた子供の宝箱を持ち主に返す事をきっかけに"彼女は世間との関わり"を持ちたいと思うようになり、やがて運命ともいうべき自分と周波の合う男性を見つけるのだけど・・・というお話よ。

作品全体が緑と赤を中心の色づくリになっていて、何とも言えない摩訶不思議感が漂ってるの。オープニングの誕生から幼いアメリが1人で遊ぶシーンはとにかく不気味・・・むしろホラーと言って良し!そして彼女を取り巻くエピソードは全て突飛だわ。さすがに「デリカテッセン」のジャン=ピエール・ジュネ監督ね。

飼ってた金魚が冷たい家庭に耐えられず投身自殺をするとか、父のお気に入りの人形を友達に頼んで世界各国に連れていってもらい写真を撮って送ってもらったり・・・でも各々に重要な意味があるのよ。

驚くべき事に音楽は1種類のみで、それが効果的に使われているから飽きが来ないの。場面場面はポストカードのように美しく、登場人物は身体的に不自由であったり精神的に問題があったりとややブラックだけど、逆にそこでぐんと人間味を増しているのよ。

作品を見終わる頃には「ああ、いいんだこれで。思うように生きていいんだなあ。」という確認作業が終わった感じがするわ。この作品をお洒落系恋愛映画と思ってらした方は要注意ですわよ!心して見ないと食われちゃうぞ〜。

img057bb3ebzikdzj.jpeg「カーズ」

愛すべきルート66

出演者はオール自動車・・・といえば映画「カーズ」!興味があって見てみたの。

公開当時の予告編で、車が擬人化された映像が何だか可愛らしいな・・・という印象が強かったのだけど、とんでもない!アニメと思って軽視するなかれ!自分たちの生まれ育った土地を心から愛する人・・・いや車達の熱い思いが描かれていて泣けちゃったわよ。

主人公は若手花形レーシングカー。彼はいつも勝つ事だけを考え常に突っ張って生きてきたの。ある日レースの最高峰"ピストン・カップ"への移動中トラブルによりルート66沿いの田舎町に迷い込み、レース会場に行かなくてはいけないのに足止めを食らってしまう。でも彼はこの町で住人達の信頼や友情を知り、他人を思いやる心を学ぶのよ。車達は目や口、走り方等で感情を表現するのだけど、瞼の微妙な落ち方や見える歯の大きさは有無を言わせぬ演技力と言っていいくらい素晴らしいの!

キャラクターの設定も最高!

錆だらけのレッカー車君、フェラーリを世界一と称賛するイタリア車のタイヤ屋、内気ですぐ泣く消防車、ジミヘンを愛するヒッピーワーゲン・・・家畜も車なら飛んでいる虫も車と、とにかく徹底しているわ。

実際にルート66沿いの町では、新たな道路建設によりその存在を失いかけるという危機に直面したそうだけど、住民達が力を合わせ町の活性化を成し遂げたんですって。この背景をストーリーに反映させた事でよりリアルな物語になったんでしょうね。

アメリカは日本と違って土地が広大だから車が重要な家族であるし、土地に対する思い入れも半端ではないからこういう作品が生まれるのかもしれない。一番印象的なのは、物語中盤の田舎町のネオンがひとつひとつ消え誰もいなくなってしまうシーン・・・とても寂しくなってグッと来ちゃいました!

上辺だけで画像を見ると、車がブンブン集まって散っていくだけなのにね・・・1台1台の人生がしっかり見えてくるからこそ感情を移入出来て悲しくなる・・・本当に素晴らしい事だと思うわ。

何でもそうだけど背景を作り込むという事は本当に重要!この作品を見て改めてそう思えたの。ピポ子も作品も更に深く掘り下げて作っていかなくちゃいけないわねえ。ようし!やってやる!!

img1aae2478zik9zj.jpeg「ウォーターボーイ」

いつまでも少年、どこまでも親孝行

ザッバーン!映画「ウォーターボーイ」!

あらやだ誤解しないで、シンクロ少年の方じゃないわよ。フットボールチームの給水係として働いている31歳のマザコン青年のお話なの。

彼が自分を侮辱した選手にタックルした事で全ては始まったわ!その威力が監督の目にとまり選手になる事になってしまったのよ。彼のママはいつも彼にべったりでスポーツも大学も認めてくれないから、隠れて練習や試合に参加する事にしたの。その結果青年の能力はどんどん発揮されチームは決勝まで勝ち抜くという快挙へ!

今まで自分をバカにしてきた連中が自分を必要としてくれる・・・彼が時折チームメイトや級友に「友達でいてくれる?」とはにかみながら言うのだけど、その表情から、"やっと自分にも仲間が出来た"という喜びが伝わってきて感動的だったわ。純粋で無垢な青年の一挙手一投足は、見てる側を前向きな気持ちをにさせてくれるし、とげとげした気分を和ませてくれる。演じているとはいえ、それって凄い事よね。

そしてこの作品で注目すべきは彼のママ!

その強力なキャラクターもさることながら、着ている服といい髪形といい"歩く雑貨屋さん"みたいで可愛いの!家の外装も内装も個性的で、ママの手料理は巨大へビの丸焼きや子ワニのバーベキューというファンキーぶり!!とにかく漫画をそのまま映像化したみたいで楽しいわ。音楽の選曲もセンスがいいのよ!

息子を守るつもりで自分のエゴを通してしまったママ。でもその頑なな思いはやがて青年の優しさと成長によって緩和され理解されていったわ。どのシーンも軽快で面白いけど、親子愛、友情、社会・・・様々なエッセンスがちりばめられ"自分に正直に生きる"という事が難しくもあるけど楽しい事だというメッセージが伝わってきたの。

自分の人生は誰のものでもない、自らがデザインしなくちゃ意味がないものね。まずはおやつを食べようっと。

img254a71b3zikezj.jpeg「メリーに首ったけ」

男子の事情

彼女が歩けば誰もが振り返る・・・まさにソフトバンクCMの原形、98年のオバカ作品の傑作と称される映画「メリーに首ったけ」

いや〜こういう直球コメディ映画は久々だわ。頭脳明晰で気立ての良い美女、メリーは皆の憧れ。何をやっても冴えないダメ男君は、彼女とデートをする機会に恵まれたもののズボンのファスナーが引っかかるというトラブルに見舞われ断念する事に。

それから13年、メリーを忘れられないダメ男君は探偵を友人に紹介してもらい彼女の居場所を突き止め様とするのだけど、探偵は彼女の魅力にノックアウトされ"ミイラ取りがミイラ"に・・・。メリーを取り巻く男性陣は全て彼女の虜となりストーカーと化してしまうの。最終的には宗教画の蛇の如く、メリーと男性陣はエンドレスな"愛情の輪"を回り続ける形になる・・・というお話よ。

まずメリー演じるキャメロン・ディアスのリカちゃん人形ボディにびっくりだけど、周囲を取り巻くキャラが癖があってGood!メリーの同居人の老婦人は高円寺の古着屋で売っているような派手なワンピースを身にまとう盗聴マニアだし、その飼い犬は骨折して全身ギブス姿になるのだけど、舌だけチロチロ出すという名演ぶり。ダメ男君が彼女に会いに行く途中に拾ったヒッチハイカーは理屈っぽい殺人者だったり、物語の要所要所に出てくるギターとパーカッションの2人組ユニットはまさに"ポカスカジャン"・・・。

ピポ子はダメ男君の生真面目さともどかしさが初々しくってとても好感が持てたわ。何だかお姉さん発言みたいで嫌だけど、いつの世も、女性は母性本能をくすぐられる男子に弱いという一面を持っているのかもね。

男性にとっては自虐的な楽しさが味わえるし、女性にとっては自分の中の母性を確認するには持って来いの作品と言っていいわ!今日は宇佐子を抱っこして眠ろうかしら・・・うふふ。

img16f9dc09zik3zj.jpeg「アンガーマネージメント」

怒り浄化、やれば出来る!

映画「アンガーマネージメント」・・・タイトルに魅かれて見ちゃいました!邦題は「NY式・ハッピーセラピー」・・・ちょっとイマイチ。

ピポ子は怒りっぽい性格だから凄く気になる作品だったのよ。ストーリーは、幼い頃のいじめが未だにトラウマになっている気弱な青年が主人公なの。彼は自分のアイディアを上司に持っていかれても人にバカにされても何も言えず、唯一の慰めは美しく優しい恋人だけ。

ある日飛行機の中でトラブルに巻き込まれ、裁判所で"アンガーマネージメント"という怒りを抑えるセラピーを受ける様に勧告を受けるのよ。担当する医師は24時間つきっきりでハチャメチャな荒療治を繰り返し、揚げ句の果てに彼の恋人を奪うという最悪の事態を引き起こしたわ!

遂に彼は怒りを爆発させ、上司に言えなかった事を言い放ち、愛する人を取り返しに行くの。でもそれは全て医師が仕組んだ彼への特別プログラムだったのよ。

途中から何となく物語の結末が見えていたけど、思った通りのラストに不思議な安心感があるわ。それはきっと役者の力なのかもしれない・・・特に医師役のジャック・ニコルソン!どんな表情をしてもどことなく怖いけど、目、眉、口全ての細かい動きが絶妙で素晴らしい。

そしてセラピー仲間のオカマやレズビアン二人組も良い味出してるわ。コメディ寄りと言う訳でも恋愛ロマンス寄りと言う訳でもなく、どの要素も万遍なく含まれていて好感が持てるのよ。見終わった後には自分がセラピーを受け終わったような爽快感が残るわ。

でもこの作品によって、怒りを自己抑制できずに悩む人がいてその為のセラピーがあるという認識が広まって良かったんじゃないかしらね。日本ではなかなか聞かないけど、戦っている現代人には必ず必要だと思うわ。あ、ピポ子は大丈夫よ!適度に大声で歌ってるから・・・アアアアア〜♪

Movie Review

2008 1
フレイジャー
ロード・オブ・ザ・リング
アメリ
カーズ
ウォーターボーイ
メリーに首ったけ
アンガーマネージメント

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