Work_Visual

091115.jpg新しい表現描写が欲しい場合・・・

デジタル一眼レフによる動画撮影

機材の進化は意外な所から始まるような気がするわ。その一つがデジタル一眼レフによる動画撮影よ。そのエポックメイキングと言えばキャノンのEOS5DMKII。その映像は衝撃だったわ。その後も現場からのFeedbackを聞き入れ24pに対応したりとか進化を始めているの。

そのキャノンの最新上位機、EOS1DMark4で夜間撮影された動画を見て更に驚いたのよ。一切の照明を用いないで現場の光量だけで撮影されてるの。そこに映るアフリカ系役者さんの肌の質感や街中の空気感・・照明による作り込みの世界とは別物なのね。

ここであることを思い出したの。欧州(確かデンマーク)で1995年に「Dogme95」というプロジェクトが発足したのよ。このプロジェクトには十戒のような厳しい撮影基準があって、照明機材は禁止で自然光のみの。SFXやCGは勿論御法度。その他、"純潔の誓い"とも呼ばれたのね。

もし、このプロジェクトでこの新しい機材を用いたらどんな作品が出来るのかなって!!(多少戒律を緩和しないと駄目かもしれないけど)

光を演出するか、今ある光に被写体を入れ込むか。動画の世界では当たり前だった照明も、その在り方自体が変わってくるのかもしれないわね。最近は照明機材もLEDに変わりつつあって、発熱という副作用を考慮しなくてもいいし、軽さと機動性もあるわ。

闇にうごめく影を表現しようとするなら、今ならCG合成で簡単にできるでしょうけど、それが合成ではなくてリアルに撮影できる事で見る側の想像力は更に膨らむハズ。これってフォトグラファーの領域よね。って事は、フォトグラファー経験を持つ動画監督がこれから有望視という事になるわ。あ、S・キューブリックもそうだった。

いずれにしても、動画制作は大々的な変革期に入ったようね。それは新たなクリエイティブチャンスでもあるわね。経験履歴ではなくて挑戦履歴が大きな意味を持ちますから、今からクリエーターを目指す皆さん!古い手法に囚われるのでなく、感覚を大切に新しい技術を乗りこなして下さいね!

-EOS1DMark4を使って夜に撮影された短編Movie-

redone.jpeg映像機材が進化した場合・・・

RED ONE / 赤い衝撃

キャノン「EOSシリーズ」のHDでの動画映像。USACOのスタッフに目茶苦茶詳しい者がいるので、将来性を聞いて見たら驚きの答えが・・・。スペックは別にして、米で基本的な構造は同じで既に「RED ONE」というカメラがあり、その会社設立時に個人的に投資しているというのよ・・なんじゃお前は。

おまけに、Apple社と提携していて「FinalCutPro」で直接取り込み、既に映画制作の現場に投入され始めてるんですって。そのスペックは(以下の記述はうけうりよ)、シネマクラスの4KサイズをRED code RAWなる非圧縮で収録、FinalCut側で1/2解像度で編集、HDTVドラマ等用にはProRes422にコーデックして編集するそうよ。最近の日本で公開された映画では「Jumper」がこのカメラをを利用しているらしいわ。

これだけの情報量(4520*2540ピクセル)だから記録もウルトラ級。4Kで1秒あたり1GBのメモリーを消費ですって!それでも格安になったデジタルシネマカメラが数千万(レンタルでも結構高い)だから、本体200万円前後のRED ONEにレンズや各種アタッチメントを揃えても500万円以下で映画が撮れるというからおそろしや。すでに映画用のレンズをお持ちの方はPLマウントできるので更に格安になるそうな。

価格が個人でも手が届くから、この方式と取り扱いの容易さコンパクトさでの映像美を体感で出来れば撮影に対する制約が大幅に変わるからモノづくりのイマジネーションが更に深まるハズ・・ですって。

話によると、この分野では機材マニアな投資家が多くなってきて、本人達が欲しいスペックの機材の開発に多額な研究開発費が投資というスタイルで動いてるようよ。だから動きがダイナミックでオリジナリティー満載なのかしら。やっぱり、自分が欲しいもの、楽しめる物をとにかく作る、何だかモノづくりの基本よね。中途半端なリサーチデータに惑わされると個性は埋没するわよね・・。

RED ONE 公式サイト

091201.jpg迫力を求める場合・・・

IMAXデジタルシアター

最近、新作の試写以外あまり劇場で映画を見る機会がなくなったわ。というのも、自宅に65インチプラズマTVと結構な出力の5.1chAVシステムがそろっているので、DVDやBDでも充分なもので・・・。

そんな中、注目しているのがIMAXシアターなのよ!以前、品川のプリンスホテル内にあったのだけど、親会社の経営再建に伴って無くなってしまったのよね。それが109シネマズで復活したの。元々、IMAXはフィルムベースの頃は通常映画の35ミリを遙かに凌ぐフィルムスペックが必要でコストの面で一般的な作品には普及せず、テーマパーク的な場所でしかお目にかかる事ができなくなったわ。

それがIMAXデジタルとしてDLP時代になってフィルムレスになり、映像のコンバートも出来るようになって普及の兆しが世界的に始まってるのよね。

スクリーンは、床下から天井まで幅も壁ギリギリで、多少Rがあるの。だから、スクリーンに包み込まれる感覚でその世界にどっぷりと浸かれるわ。音響システムも前後左右の壁に仕込まれた状態で一般の劇場と比較すると音の輪郭がハッキリしていて音圧のバランスもいい。今回は音楽系なので、あえて前列近辺中央で体感してみたけど、ドラムのキック音で風圧を感じるくらい締まりも良かったわ。

映画館でしか楽しめない映像は3Dを始め年々進化してる。3Dはまだ制作上の課題が多々あるけど、IMAXのような差別化は充分に劇場に足を運ぶいい機会よね。皆さんも何かお気に入りの作品があれば是非一度IMAXでご覧になってみて。早く都心にも出来ないかなぁ~。

-IMAX-
http://109cinemas.net/imax/

091105.jpg楽しさを求める場合・・・

地上波の役割は?

TVは見てるけど、それはDVDだったり、スカパー等の有料配信だったりと、モニター化していて昔のように地上波を見るためのツールでは無くなってきているわ。時たまニュースを見るけど、一部の経済専門系を除けばすべてが横並びで独自性も無く、「これじゃー広告も減る訳だ・・・」と納得。

とあるTVとインターネットに対する意識調査でも、『TVとインターネット、どちらが自分にとって有意義な情報が入手できると感じますか?」の問いに、インターネットと答えた人が87.3%、TVと答えた人が12.7%だったそうよ。また、『どちらが楽しいか?』の問いにも、インターネットが68.3%、TVが31.7%・・なるほどの結果ね。

特に最近のTVの情報系は表面的な部分ばかり追っかけて、その情報に深さを感じないのよ。きっと、その番組の担当者もインターネットを頼りに情報収集してるからなんでしょうね。自分の足で集めたわけではないからカタログ的になってしまうのかしら・・だからこんな結果になって当然と言えば当然ね。

そして、地上波として譲れない「楽しさ」までもがインターネットに圧倒されてるという現実。もはや”楽しくない”地上波のバラエティ番組達。広告収入が激減して、更なる悪循環に入らなければいいけど・・。地デジ化を急ぐよりも中身の改革を急いだ方がいいんじゃないかしら。

091029.jpgお一人様納品の場合・・・

ノーアシスト!

アニメ制作のクリエーターというと、アニメスタジオで何年か修行を積んでようやく・・というのが主流だったわ。でも今や機材とセンスがあれば一人で完結させることが可能よ。

「センコロール」という作品も、その謎めいたストーリーやキャラクターだけでなく、シナリオ、作画、編集などを一人でこなしたという事が話題になったの。30分という作品を一人で制作したというのは気合いが入ってるけど、やろうと思えば個人レベルでここまでできる・・良い時代になったものよね!

アニメ産業の売上高は、海外では2006年の最盛期を境に1/3ほどに激減し、アニメ大国である日本も減少の一途をたどっているわ。ようやく危機感を感じた我が国は、自国のコンテンツを強化するという対策に打って出たの。

コンテンツ企画会社「シンク」では国からの援助も受けつつ、日々新人アニメ作家の発掘を行っているそうよ。この会社が次に目をつけたのは、一人で独自のクレイアニメを作り上げたあるクリエーターの男性。

彼が会社の担当者と話をしているシーンが放送されていたのだけど、それを見ていてちょっぴり疑問が・・。担当者はこの作品を中国市場で展開させたいので『中国人にわかりやすいキャラにしてほしい』と提案したの。歯茎むき出しのこわかわいいキャラが魅力だというのに、それを『わかりやすく』と。一方作者は『本当は日本で展開したいが、こんなチャンスはないから・・』と妥協する様子。

確かに目の前に肉をぶら下げられたら、人間迷って当然ですよ。でも、自分の生み出したものを歪な形に変えられてしまってまで発表するべきなのだろうか・・これが運命の分かれ道なのよね。ここで"NO"と言える信念があれば、また別の道が開かれたんじゃないかしら・・クリエーターとしては苦渋の選択ではあるけれど、自分の作品に誇りを持ち己の哲学を貫く事が将来的に結果として表れるはず。

一人一人がそう思って物作りに取り組んでいければ、きっとこれからの売上高グラフは右肩上がりね。遂に"個の時代"到来・・!そして皆で日本を元気にしていきましょう!

カリカチュアKage氏の場合・・・

個性を見抜く!

「カリカチュアリスト」という職業はご存知?

人物の顔や体の特徴を誇張して描く似顔絵を描くアーティストの事を指すのよ。元はイタリア語のカリカーレ(誇張する)という言葉が語源で、ユーモアを交えて描かれる画法なの。

アメリカのパーティやイベントでは欠かせない存在で、完成された絵を渡されたお客さんは皆大笑いをして楽しそう。日本では昔からイベント施設で"似顔絵コーナー"なるものがあって、ベレー帽のおじさんが色紙に水彩画を描いていたイメージがあるわ。でも本人に似ているか否かだけが重視され、印象深い楽しさは無かった気がするのよね。

日本人のカリカチュアリストの第一人者である"Kage"さんは、アメリカでその独自の画法を取得し世界大会で優勝するほどの腕前なの。彼は格闘技家として単身アメリカに渡ったのだけど、あまりの体格の差に夢を諦め落ち込んでいる時にカリカチュアに出会ったんですって。これだけ人を幸せに、笑顔に出来るんだと感動した彼は元々あった絵の才能を磨き、この世界に飛び込んだそうよ。凄い!

日本に戻ったkageさんは、カリカチュアを文化として受け継がれる基盤を作りたいと都内のイベントスペースでビジネス展開をしているの。彼が絵で表現するのは、お客さんを見た時の自分の内側のイメージで"嘘だけど本当にみえてしまう真実に近い、よりその人が伝わる部分"なんですって!

絵を売るのと同時に「あの時こうだったなあ・・・」と懐かしく思い出せる価値のある時間を売っているんだと言う彼の目はキラキラして少年のようだったわ。かつて自分がどん底に落ちた時救ってくれたかけがえのないもの・・・でも今では自分が人々を笑顔にさせる立場に立つ事が出来るなんて、本当に素晴らしい事よね。

それはkageさんが本当に人が好きで、人の心の痛みや嬉しさが身にしみて分かる人だから出来るのかも・・。同じ表現者として尊敬に値する人だわ!ちなみに、この絵はピポ子がカリカチュア風に描いた作品。

(カリカチュア・ジャパンweb)
http://www.caricature-japan.com/artists/index.html

マーベル脚本家を目指す場合・・・

年収5万ドル

コミック好きで脚本家を目指している人には朗報よ!

コミックのヒーローや悪役を5.000以上も抱えるマーベル・エンタテイメントがキャラクターの映画化に向け脚本家を募集しているんですって。

毎年5人の脚本家を雇ってチーム編成にし、自社キャラの映画化に向け取り組んでいくそうよ。これまでマーベルではピポ子の好きな「ミスター・インクレディブル」や「アイアンマン」「ハルク」等の人気スーパーヒーローに焦点を当ててきたけど、今回「ブラックパンサー」や「ナイトホーク」等の比較的無名なキャラを主軸に置く事にしたんですって。

この理由として去年公開された「アイアンマン」の成功例が挙げられるわ。「アイアンマン」は「スパイダーマン」「バットマン」ほど認知度が高くなかったにも関わらず素晴らしい興行成績を収めたんですもの。主演がロバートダウニーJr.だからという事だけでなく、原作に忠実にしっかり制作されたという事も成功要因のひとつなんじゃないかしら。

実際に採用された脚本家達は給料制で働く事になるそう。ディズニーの脚本家は年収5万ドルなんだけど、なんとその倍の金額が支払われるというからすごいわよね〜。執筆された脚本の権利はマーベルが保有し、その脚本家と仕事を続けるかもマーベルが選択権を持つそうよ。

現在候補者は売込み用のサンプルを執筆中で、既に映画化企画が進行しているものや映画化を視野に入れたものも含まれるんですって。採用の最終決断は、マーベル・スタジオの制作部門のトップ・・難関ではあるけれど、このチャンスを手に入れられるのは挑戦者のみ!日本でもどなたか名乗りを挙げて欲しいなあ・・。そのうち「PIPO-PIPO TV」制作をチーム編成にしようかしら。でもきっとピポ子の場合、すぐ衝突しそうだからやめておこう・・うふふ。

アニメビジネスアニメビジネスの場合・・・

温故知新

今やアニメ番組の視聴率が10%すら難しい・・・先日行われた『アニメビジネス・フォーラム+2009』ではアニメ放送に関わるキーパーソンが集まり、アニメ産業の実情について話し合ったそうよ。

少子化や生活の変化から子供たちがアニメを見なくなった事や、放送されたアニメが違法サイトにアップされる事が視聴率の低下やDVD販売の低下に拍車をかけたと言う声が挙がっているわ。そして消費者自身が作るメディアやコンテンツが、地上波でアニメを放送して玩具を作りDVDを売るというビジネスモデルを成立し辛くさせているという声も・・・。

この対策として、あるテレビ局では米国の有料映像配信サイトや自社の配信サイトなどで、日本のアニメを字幕付きで70カ国以上に提供するなどネット配信に本腰を入れるそうよ。今更何を・・・と言いたい所だけど、何故こんな事態が生じたのかと突き詰めれば別の問題があるような気がするわ。

アニメは子供だけが見るものではない!内容に異論は唱えたいけれど、深夜放映されていた「墓場鬼太郎」の数字はとれていたし、昔のアニメのスピンオフ作品が映画化されたりDVDで販売されたりと決してアニメ市場は活気が無い訳ではないのよ。

ただ、『あの頃の作品は面白かった』と昔のものを引っ張り出さないといけない現状、つまり新しいものを生み出し開拓出来ないという事が問題じゃないかしら?

面白いものが無いから自分で作る・・・そういった消費者の考えはごく当り前だと思うし、興味ある方にシフトするのは当然よ。権利だ、ビジネスモデルだなんて言ってないで、世界に誇れる日本のコンテンツを作り上げる事の方が先決だと思うのよね。

窮地に立たされてようやく重い腰を上げたキーパソンの皆さん、これからは我々と楽しい作品を作って行きませんか?

ヴィジュアルAll Artist

ヴィジュアルと音楽のバランス

MTV以後、当たり前のようにプロモーション映像が新曲リリースと同時公開されるようになり、ビジネス的に重要なコンテンツとなっているわ。

MTV開局当時から数年間は100%プロモーションの位置づけだったけど、M・ジャクソン等、それ単体で商品価値を持つ作品が次々と世に出始めると、映像コンテンツとして一人立ちの域に入り、DVDやオンラインの普及でセルとして成立し始めているわね。

楽曲を宣伝するためのツールから、そのアーティストの世界観を補完する意味合いの作品群が多くなってきたのよ。場合によっては、楽曲的にはピンとこなくても、映像表現が添付された事によって楽曲の深みを感じ取る事ができてハマってしまうという事もあるわ。ジャンルにもよるけど、特にポップでない難解な歌詞が多いアーティストはこれがセールスに影響している事は確かよ。

以前紹介したキャメロットも彼らの世界観を十二分に引きだした映像がブレイクのキッカケとなったしね。逆に、リハーナやビヨンセのように、分かりやすい歌詞に深みを与える映像表現も同様の効果があるわ。

昔、漫画のイメージアルバムが多く制作されていたけど、原作の世界観を更に奥深いものにするという理由では全く同じね。2つの表現が完璧に混じり合った時点で作品の力は無限大に広がり、意図する部分がより強くリスナーに伝えることが出来るわ。ピポ子も腕の見せ所よ!!

Work Style -Visual-

2009
機材革新
RED ONE
IMAXデジタル
TV vs インターネット
一人アニメ
カリカチュア / Kage
脚本家 / マーベラス
アニメビジネス
All Artist / 映像と音楽のバランス